自動車整備事業者の整備売上(整備作業量)が減っている理由(全国)


 多くの自動車整備事業者がここ数年整備売上が減っていると実感されています。整備売上が減っている原因をご存じでしょうか。「人口が減少して、自動車の台数も減っているから整備売上が減っている」と思っておられるのではないでしょうか。下のグラフを見ると、確かに日本の人口は、少しずつ減少しています。しかし、自動車保有台数は、8,000万台を超えており、減ってはいません。自動車台数は、減っていないのに何故整備売上が減少しているのかその原因を探ってみます。

人口と自動車台数 検査登録車と軽自動車の割合

原因1.軽自動車割合の増加

  二つめのグラフは、全国における検査登録自動車と軽自動車の割合です。昭和50年代は、普通車80%、軽自動車20%くらいでした。平成になったころから普通車70%、軽自動車30%と軽自動車の割合が増えています。理由は、軽自動車の規格改正により居住性が良くなり、一家の2台目に軽自動車を買うようになったものと思われます。平成10年ころから少しずつ軽自動車の割合が増えて、平成27年3月末で軽自動車60.6%、普通車39.4%です。

 ご存じのとおり、普通車と軽自動車では整備作業量(整備売上)が違います。自動車台数が同じでも軽自動車が増えると、整備売上は減少します。

原因2.ハイブリッド車の普及

ハイブリッド車数

 全国におけるハイブリッド車台数は、グラフのように平成21年3月末約53万台から、26年3月末に382万台と5年間で7.2倍と急速に普及しました。理由は、低公害車に対する補助金交付や自動車重量税、自動車税等の減税があります。また、燃費の良さもハイブリッド車増加の要因と考えられます。

 ハイブリッド車ユーザーの多くは、点検整備をメーカー系列の整備事業者に依頼しています。一部のユーザーは、メーカー系列以外では点検整備ができないと思っているくらいです。

 全国の自動車台数の約4.7%がハイブリッド車になり、メーカー系列の整備事業者に流れています。

原因3.指定自動車整備事業者の増加

  下の表は、全国の自動車整備事業者数です。
自動車整備事業者数

 平成21年度から平成25年度までの4年間に認証工場が409工場、指定工場が501工場増えています。認証工場の場合、事業者の高齢化、後継者不足のために廃止されるところもあるので増加の割合は低いです。指定工場は、規模が大きく法人が多いので廃止が少ないので増加率は高くなっています。

 指定工場の場合、1年平均で125工場増加しています。毎年指定工場が約0.4%ずつ増えている訳です。自動車整備事業者が増えれば、1工場あたりの整備作業量は、減少します。

結論

 自動車保有台数は減ってませんが、軽自動車の割合が増えることにより整備作業量全体のパイは小さくなっています。小さくなったパイの内ハイブリッド車が増えた分、メーカー系整備事業者の取り分(整備売上)が増えています。また、残りのパイも整備事業者が増えているので、1工場あたりの取り分(整備売上)がますます小さくなっているのが現状です。

今後の見通し

 全国の軽自動車の割合は、45~50%まで増えると思われます。ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車は、今後も増え続けると予想されます。また人口減少、少子高齢化が進めば自動車保有台数の減少もあるでしょう。これらの事を考えると、ここしばらくは整備作業量の減少は続くものと考えられます。

自動車整備売上減少の対策

 別ページの対策例をご覧ください。



 データ出典 自動車保有台数:国土交通省四国運輸局HP及び一般社団法人自動車検査登録情報協会HP  自動車整備事業者数:国土交通省四国運輸局HP  人口:各県HP及び厚生労働省HP人口統計  運転免許保有者数:警察庁HP運転免許統計

 このホームページは、愛媛県レンタカー協会が独自にデータを分析して作成しております。